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2018年08月11日

バルセロナ建築紀行【その2】

設計の浅井でございます。
 
前回予告いたしましたバルセルナ建築紀行の続編です。

前回のBlogでは「モダン建築世界3大聖地」の一つとして、20世紀三巨匠の一人であるドイツ人建築家、ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナパビリオンを紹介しました。

建築学上は重要な建築であり、我々建築設計を仕事としている者はバルセロナに行ったら必ず見る建物ではありますが、一般的観光スポットではありませんし、「バルセルナ」っぽくはない建築物でもあります。
 
ということで、今回はより「バルセロナっぽい」あの建築家を中心にご紹介いたします。

ご存じ「アントニ・ガウディ」でございます。

ガウディは19世紀後半から20世紀初頭にかけてバルセロナを中心に活躍した建築家です。前述の三大巨匠といわれる、ミース(独)、コルビュジェ(仏)、ライト(米)の少し前に活躍しました。
 
時代背景としては、産業革命のもと中世~近世から近代への移り変わりの時期であり、建築をはじめとする文化芸術的には、それまでのある法則で分類される特徴的で類型的な「様式主義(ゴシック・バロック・ルネサンスなど)」から、より自由で現代的な表現形式「モダニズム」へ移行する変化の時代でした。

その激変の時代をガウディ作品を中心に年代順でご紹介していきましょう。
 
 
■カサ・ビセンス(1888年;アントニ・ガウディ)

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ガウディの建築デビュー作は現在もバルセロナの裏通りに残っています。
 
写真を見ていただくと「?」という感じかもしれません。
ガウディというと有機的でグネグネとしたデザインを思い浮かべられる方も多いと思いますが、初期の彼の作品はこのように幾何学的なデザインが多用されていました。
 
これにはバルセルナを中心としたスペイン・カタロニア地方の歴史も関係しています。
スペインはヨーロッパの南端イベリア半島に位置し、古くはローマ帝国の支配を受けましたが8世紀頃、地中海を越え勢力を伸ばしてきたイスラム勢力に支配されたり、キリスト教勢力が奪い返したり(レコンキスタ)と紆余曲折してきました。
 
結果、スペインではイスラム教圏とキリスト教圏が融合した独特な文化を形成されました。
幾何学形態を多用したデザイン手法はイスラム文化に多く見られ、スペインではイスラム文化を取り入れた建築スタイルを「ムハデル様式」と呼びます。

ガウディも若い頃はこのムハデル様式の影響を大きく受けていたのです。
 
 
 
パラウ・グエル(1888年;アントニ・ガウディ)

若いガウディの才能を早くから見いだし、育て、理解し、生涯パトロンであり理解者であり続けた人物がいます。
バルセロナの富豪エウセビ・グエルです。 

1878年のパリ万博での手袋商のために作られたガラスの展示ケースに一目惚れをし、そのデザイナーがガウディという若い建築家であることを突き止めたグエル氏はバルセルナ市街地での自身の邸宅の設計をガウディに依頼しました。

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通りに面する外観は抑え気味の色合いで、カサ・ビセンスに続き幾何学形態を用いていますが、象徴的なのは、後のガウディの作品中に繰り返し登場する「パラボラ・アーチ」を使ったゲートです。
 
パラボラ・アーチについて詳しくは後述いたしますが、ガウディはグエル邸設計案を作る際、このアーチのないオーソドックスなデザイン案と「パラボラ・アーチ」案の二つを提出したそうです。
受けたグエル氏は
「きっとガウディはパラボラ案を作りたいんだろうな~、普通のでって言ったらやる気なくすんだろうな~」
と忖度(笑)し、パラボラ案を採用したそうです。
 
結果、自分の提案が通ったガウディは嬉々として設計に打ち込み、内部空間そして屋上庭園を作り込みました。それらには後のガウディ建築を方向づける様々な要素が生まれました。

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2階には上階まで続く吹き抜けを持つサロンがあります。
サロン上部にはキューポラ(丸天井)が設えられ、星空のような天窓が設えられました。
サロン内にはパイプオルガン(奏者はグエル氏の娘)が配置され、バルセロナの有力者かアメリカ大統領まで各界名士を集め音楽や演劇を上演したそうです。
 
 
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屋上はもはやガウディワールド満開です。
林立する排気筒は後のガウディ建築に見られる有機的なデザインが見られ、砕かれたタイルによる表面仕上げも見られます。

ガウディ建築の基本はグエル氏という理解者を得たことにより育まれました。
 
 
 
カサ・バトリョ(1906年:アントニ・ガウディ)

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(注):ピンク色に光る部分は季節限定のライトアップです。
 
現在のバルセロナの目抜き通り、グラシア通りに建つ、繊維業の実業家、ジョセップ・バトリョ・カサノバのための邸宅です。
バトリョ氏は古屋付きのこの土地を購入し、更地にして新築するつもりでガウディに依頼したのですが、ガウディは古屋の構造を残し改築することを進言しました。

実はガウディ建築は途中でガウディがやる気を失ってしまったり、工事中に計画が止まってしまったり、あるいは完成する前にガウディが死んでしまったりという作品が多いのですが、このバトリョ邸は改築ではあるものの、ガウディの思想が完遂された作品なのではないかと思います。

このバトリョ邸では自然界の様々な生き物・現象が合理的に取り込まれ建築を構成しています。
 
少年時代のガウディは病弱で、男の子の好きな激しい運動を伴う遊びについて行けず、一人で遊ぶことが多かったそうです。孤独な少年の遊び相手は大自然であり、植物であり、昆虫であり、動物たちだったそうです。ガウディ少年は動植物を丹念に観察し得意のスケッチで緻密に記録解析し、カメや魚など飼っていた小動物が死ぬと遺骸を煮出して骨格を取り出し標本として保存したそうです。
 
緻密な観察はやがて、植物や動物を成す構造システムへの興味にいたり、生き物が進化の過程で手に入れた合理性を体感したそうです。

少年期に興味を抱いた生き物の身体の合理性は、建築家となり建築作品の設計に反映されました。

このバトリョ邸では有機的な意匠が多く採用され、それらはガウディなりの合理性を表現したものでした。
 
接合部を太く強化した柱は自然と脊椎動物の骨格に近づき、水捌けを考慮した屋根瓦は必然的に魚類やハ虫類のウロコのような形状となりました。
 
後のガウディの評価を決定づける有機的な意匠要素はこの作品で大成されますが、有機的意匠は決して「装飾」ではなく、ガウディなりの「合理性」であったと言えます。
 
建築における合理性は前述のガウディに続く三巨匠の世代つまり「モダニズム」の主幹を成すテーマと言えますが、広義にはガウディ建築もまた「モダン」であったといえるのです。
 

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ヨーロッパの市街地に建つ建築は、間口が狭く奥に長い建物が多く、(これは京都の町家などにも言えるのですが)光の届きにくい中央部が暗くなるのを防ぐため、中庭や吹き抜けを設けることが多いです。
 
バトリョ邸にも建物の中央部には地上から最上階まで続く吹き抜けがあります。
この吹き抜けは、後にガウディ・ブルーと呼ばれる意識的にグラデーションがつけられ上階に行くほど濃いブルーのタイルで仕上げられています。

これは、天窓に近い上階では眩しすぎるカタロニアの太陽光線を穏やかに押さえ、光の届きにくい下階では壁色を明るくすることにより吹き抜け内部の光の分布の隔たりをなくす効果を狙っているそうです。
同じ理由で吹抜けに面する各階の窓は、上階は小さく下階は大きくなっています。

また、この建築では窓の形からドアの取っ手まですべてガウディの意思が反映されてデザインされています。
冒頭でも言及しましたが、ガウディ建築の中でも完成度の高い作品であると思います。
 
 

カタルーニャ音楽堂(1908年;L・ドメネク・i・ムンタネー)

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こちらはガウディの作品ではなくライバルのムンタネーの作品です。
晩年の名声と比較すると若い頃のガウディは順風満帆とは言えませんでした。
グエル氏の支援を受けてもなお、建築家としてはライバル、ムンタネーの後塵を拝していました。このカタルーニャ音楽堂も初期プレゼンではガウディ案に決まるはずが、ふたを開けてみれば何故か、ムンタネー案が採用されたと言う逸話があるそうです。

と言うわけで、当時はガウディを抑え、活躍していたムンタネーですが、彼もカタロニアの歴史を語る上では欠かせない建築家と言えるでしょう。

ムンタネーのこの頃のスタイルは「モデルニスモ」と呼ばれるスタイルです。
モデルニスモとは植物などの有機的なデザインをモチーフとしたデザイン様式で、前述のモダニズム前夜にあたる近世から近代への移行期に花開いた様式です。

同様なスタイルをフランスでは「アール・ヌーヴォー」、ドイツでは「ユーゲント・シュティール」とよび、それぞれの地域で展開されました。

このカタルーニャ音楽堂も「モデルニスモ」を代表する建築物として世界遺産入りしてます。
外観デザインを観察しますと、植物やら馬やら騎士やら女神やらがうねうねと壁面を飾っています。
エントランスアーチや窓周りには唐草模様やお花など丁寧に配置され情報量が追加され、まさに「モデルニスモ」といった建築です。
 
 
ガウディ建築をこの「モデルニスモ建築」の一つとする考え方があるのですが、私はガウディ建築はあくまで「ガウディ建築」であると思います。
両者の違いは有機的デザインが「装飾」なのか「機能」なのかと言うところで大きく異なります。

このカタルーニャ音楽堂も、有機的意匠は「装飾」的側面が強いのですが、ガウディ建築の有機的意匠はガウディなりの「合理性=機能」があってこそのデザインだと思うのです。
 
 
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ちなみにこの音楽堂は今でも現役で機能しています。
私も、試しにチケットを取って地元のアーティスト「チャンバオ」さんのライブに潜入してみました。
ググってもスペイン語サイトしかヒットしないので、よくわからないのですが、たぶんスペインのドリカム的な?アーティストさんでした。(観客もみんな唄ってたし)


ということで、紹介しなくてはいけないあの建築やこの建築がまだ紹介できておりませんが、だいぶ長くなってしまったので次回に持ち越します!


次回、バルセロナ建築紀行その3をお楽しみに!


出展
ガウディの伝言 (著:外尾悦郎 光文社新書)
バルセロナのガウディ建築案内(著:丹下利明 平凡社)

 


 

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2018年08月27日

【完成現場紹介】Y様邸

こんにちは、宮里です。
今回はY様邸のご紹介です。

敷地は旗竿地で、車2台縦列駐車でき、その先に建物があります。
建物の手前には、表札やポストを配置した門塀を設置しました。
建物と同じ外壁色を組み合わせ、建物のミニマム版を作りました。
 
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敷地は旗竿地ですが、旗部分の南側に隣家とスペースを確保できるため、日当たりは抜群です。
 
中に入ると、1階のフロアはアンティーク調の無垢フロア。
南側からの採光で、日中は電気いらずです。
 
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(撮影の仕方が上手くなくすみません)

夏の日差しは太陽高度が高く、またY様邸は2階直上のバルコニーが庇のような役割をしているため、夏はリビングに直射日光を取込みづらくする計画です。

逆に冬は太陽高度が緩くなるため、直射日光がリビングへ広がり、あたたかい設計です。
(企画設計:竹島の自然の原理を活かした手法ですね!)
 
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また、壁には、無垢フロア漆喰壁で自然素材ならではの調湿機能で、連日の暑さもこれから来る冬の乾燥も対策バッチリです。
 
無垢フロア漆喰についての記事もありますので、ご覧ください。


リビング横には、小上がりのタタミコーナーがあり、広さは少なくともあるとうれしいですね。
家事の合間にごろんと寝転がって、昼寝が気持ちよさそうです。
 
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キッチンからは奥様のご希望で、リビング、タタミコーナーを全て見渡せる間取りに。
 
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キッチン横のスタディコーナーは、レンガ調クロスと木製ブラインドで、ブルックリンスタイルのシックな仕上がりに。
 
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手前のペンダント照明はダイニング用で、リズミカルに遊び心のある空間にマッチしたものをご採用。
 
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コーディネーター福田とY様で何度もお打合せを重ねてましたね。

コーディネーターとのお打合せでは、壁紙やクッションフロアなどたくさんのサンプルから選びました。

ご夫婦は「冒険しすぎていないか」と心配されておりましたが、そんなことは一切なく、毎日を楽しい気持ちにさせてくれますね!
仕上がりにご夫婦も満足と一安心でした!
 
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それでは今回はここまで。
 
実はY様邸には、ルーフバルコニーがあり、そこでBBQをやることが夢とのこと。
 
BBQにお呼ばれした際に、そのお写真もご紹介できればと思います。
それでは、またお会いしましょう!!

 


 

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