2022/10/07
2022年度 グッドデザイン賞受賞 囲居のある家
2022年度 グッドデザイン賞 受賞
船橋展示場
囲居のある家
日常の中に時別な時間が流れる
デザイナー:小杉 正信/正木 由美子
見える風景や、居方( 立つ、座る、寝転がる)による目線のずれからできる
距離感を住まい手を取り巻く囲いと捉え、窓のサイズや配置、床のレベル差を丁寧に計画することで、
住まいの中に様々な個性の違う特別な居場所を発見できる『囲居(かこい)』をデザインする。
Concept
囲居( かこい)のある家がめざしたのは、普通にちょうどいい、豊かさや幸せを感じられる家。
平日の夜も、外出しない休日も、家で過ごす時間の中で生まれる”ちょっとしたコト” が普通にちょうどいいと感じられる住まい。
家族がぞれぞれ自由に過ごしながらも緩やかにつながり、窓や開口を通して外へもつながっていく、そんな空間をデザインする。
家族の価値観が変化したコロナ禍の今、住まいの役割もアップデートが求められている。
毎日が安心・快適に過ごせること。特別過ぎず、普通にちょうどいいこと。住まいに求められるのは、この普遍的な居心地の良さの追及だけではなくなった。ニューノーマルという言葉を生んだコロナ禍はあらゆる世代の意識に変化をもたらした。家族を感じる「つながり」と同時に「一人になれる場所や時間の確保」の重要性・必要性が高まっている今、その両立を実現する住まいづくりをめざす。
Floor Plan
目線の抜けとずれが、居心地を生む。
室内にて、前後・左右、または2方向以上に目線がぬけるように配置した窓から取り込む風景と床段差や天井高さの調整と人の居方による目線のずれが、適度な距離感とそれぞれの快適性を生む。
視界を拡張する。境界を融和する。
大小の窓やテラスに面した壁開口は、室内に光や風、風景を取り込むための装置であるとともに、住まい手の生活風景を切り取り外部に映し出すスクリーンとして、家と街をつなげるきっかけを与える。
建築物 概要
敷地面積 :265.90㎡
用途地域 :準住居地域/第一種低層住居専用地域
建築面積 :62.77㎡
1階面積 :59.38㎡
2階面積 :49.88㎡
延床面積 :109.26㎡
構造 :木造枠組壁工法(2×6)・省令準耐火構造・耐震等級3
階数 :地上2階建
建蔽率 :54.82%・容積率168.94%
ブランド名:Hascasa
商品名 :Graxyz
審査員の評価
昨今の住まい方の多様化やコロナ禍における家に対する意識の変化を、家の設計に取り込み、具現化しようとする意欲作であり、家族のつながりと一人ひとりの個別性を両立しようとする姿勢に審査でも注目が集まった。目線の抜けとズレが重要であろうというビジョンを立て、視界を拡張するような開口部の配置の操作、及び、空間に置かれる家具を含めた居場所の高さの操作により、効果的に実現している。2階にはバルコニーを家の中心に設けることで、外部を巻き込んだ広がりを感じさせる住空間となっている。
デザイナー
小杉 正信
用の美、普通であることの美しさ
生活の中にちょっとした感動を沢山ちりばめること、外と内との繋げ方を意識して数字では表現できない空間を提案します。
受賞が決定した時の気持ち
HaScasaでの展示場初受賞であり、今までの設計の中で、常に取組み続けてきた『普通』という言葉に内包された気取りのない美しさ、普遍的な居心地の良さを追及した結果が、賞という形で認められたことが大変嬉しかったですし、今後も変わらずご提案していく指針になりました。